はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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大工はおしゃべりなほどよい

おしゃべりな大工さんがウッドデッキの木材を持って来てくれた。傷んだ個所を張り替えるために頼んだものだ。
珈琲を淹れ夫と3人でしゃべった。何しろおしゃべりな大工さんなのでしゃべってもらうのが、もてなしなのだ。
最近の話から、いつもそうだが家を建てた頃の話になる。13年前のことだ。今年設計士さんが亡くなったこともあり、センチメンタルに話し始めたが、しかしこだわりの強い頑固もんの親父だったよなというところに落ち着く。
三谷幸喜監督の映画『みんなの家』は若い設計士と年配の大工が家を建てる際のこだわりの違いがメインだったが、うちはふたりとも還暦を過ぎた同年輩。ぶつかりは激しかった。
その大工さんから受けてうちの仕事をしてくれていたのが、おしゃべりな大工さん。わたしと同い年だ。
あの頃、末娘は彼にとてもなついていて、彼女は子どもながらにヘビースモーカーの彼に心を痛めており、煙草を止めるように何度も注意した。
「煙草はからだに悪いんだよ」と5歳の娘。
「からだに悪くても、心にいいんだよ」とおしゃべりな大工さん。
「そっか、心にいいんだ」と娘。「うーん」とわたし。
 
彼はスマホを操作する夫を見て「それ指を動かす病気なの?」と顔をしかめていた。ブルートゥースの話になると「それ、ブルーレイと違うの?」と目を泳がせていた。末娘が18歳になったことにさえ目を丸くしていた。
でもまあ時代に遅れているともいえる彼の気持ちも、わたしにはよくわかる。何しろ同い年なのだ。
珈琲カップを片づけたあと、夫を手伝ってペンキを塗ったり、傷んだ板を外した場所の掃除をしたりした。
顔を上げると、おしゃべりな大工さんが張ってくれた杉の外板が……八ヶ岳おろしの北風の中で雪にまみれて張ったという板が、綺麗に並んでいる。
彼は腕がいいし、ハートがある。まあ、おしゃべりなのを楽しいと捉えるか、うるさいと捉えるかは人それぞれ。仕事は忙しいようだから、うるさいけどまあよしと捉えている人が多いということかな。たぶん熱いハートが収まりきらなくて口からどんどん飛び出しちゃうんだよね、彼の場合。
とりあえず「大工はおしゃべりなほどよい」ということにしておくか。

12年前に家族で張ったウッドデッキも 
そろそろ 基礎から張り替えなくちゃならないかな

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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