はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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あきらめずに伝えること

久しぶりに、最寄りの無人駅JR穴山駅から電車に乗った。
たいていは、東京寄りの有人駅(?)韮崎から乗るので、穴山駅の利用は少ない。頻繁に使っていたのは高校に通っていた頃の娘達で、その送り迎えでわたしも毎日のように駅前まで車を走らせていた。その日々も、もう3年以上も前のことになるが、その道を走ると思いだすことがある。

冬の入口の乾いた風が吹く頃だった。朝いつもの時間に、高校に通う上の娘を送るべく坂道を上っていた。穴山駅は、山とつくだけに小さな山の上にある。うっそうと木々が茂る山道をくねくねと登っていくと駅にたどり着くのだ。
「うわあっ!」「キャーッ!」
娘とわたしの叫び声、どちらが先だっただろうか。
大きな木の枝が、ボンネットに落ちてきたのだ。最初の枝が次々に下の枝を折り連なって落ちてきたらしく、衝撃は3本分。ドンドドドン! という大きな音と振動に、身体じゅうが震えた。
幸いフロントガラスには当たらず、ボンネットはへこんだが車は動いた。娘が一緒にいたことでしっかりしなくてはと思ったのか気が動転することもなく、駅まで送り届けてから保険屋さんに電話して、行政の管轄だろうと教えてもらった。そのとき初めて、警察の事情聴取というものを受けた。

時間、走行速度、通勤か通学か、対向車や後続車の有無、様々訊かれひとつひとつに丁寧に答えた。ボンネットに落ちてきたのだからこちらに落ち度はなく、韮崎市の管理する森林だったこともあり、市に修理保証の申請を出すことになるとの説明を受けた。聴取は30歳くらいの歳若い警官一人で、謙虚な態度にとても好感が持てた。だから、話すことができたのかも知れない。
「ここは、通学する高校生達が、バイクや自転車で通る道なんです。もし、車のボンネットではなくバイクの上に重たくて大きな枝が落ちてきたら、死亡事故につながり兼ねません。張り出した枝の整備をしてください」
行政の対応の遅さには、呆れることも多い。特に山梨では倒木の危険にさらされた道路も多く、順番に整備していても間に合わず、事故が起こることもままあるのだ。だからつい、どうせ言ってもダメだろうと思ってしまいがちになる。それでも、やっぱり伝えておこうと思った。

その2週間後、穴山に続く道の枝は、綺麗に整備されていた。
あのときの警官の名前も顔も覚えてはいないが、彼が子ども達を守るためにがんばったのだろうと、わたしは今でも思っている。警察だって行政だってみんな人なのだ。穴山駅へと続く道を走りながら、いつもそんなことを思う。

一昨日の定点観測地点から撮った八ヶ岳。涼し気です。
気温が下がり、くっきりとした夏ならではの顔を見せてくれました。
それが、昨日は甲府では39℃を超えたそうです・・・。
どうぞみなさま、体調を崩されませんように。

最寄りの無人駅JR穴山駅です。後ろに見えるのは南アルプスの山々。
我が家からは、車で15分ほどです。

電車に乗るには、乗車駅証明書を発行して持っていきます。

帰りの切符は、この箱に入れます。改札はもちろんありません。

夏らしいお習字の文字。風林火山ゆかり駅も紹介されていました。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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